- 大学院卒で高学歴ワーキングプアに陥る博士の特徴。
- 高学歴ワーキングプアに陥る人は“鬱”を発症する可能性があり。
- 研究者を目指すなら“二足の草鞋”を履くことをおすすめします。
このような不安は多くの博士学生が書けている共通の不安です。
博士課程に進学する、そして研究者を目指すという進路を選択することは、簡単なことではありません。
社会進出の年齢的なリスクや、経済的なリスクを伴う可能性は十分に考えられます。
そのため、博士課程へ進学するという選択に対して、それらのリスクを受け入れるだけの価値があるか、ということを見極めることが大切です。
つまり「高学歴ワーキングプアに陥るリスクを背負ってでも、あなたの人生において研究者を目指すことに価値はあるのか」ということ。
不安に駆られることもあり、悩み疲れることもあると思いますが、そうして考えた時間は決して無駄にはなりません。
悩んで、悩んで、悩みましょう。
大学院卒なのに高学歴ワーキングプアに陥る博士の特徴
残念なお知らせですが、あなたの悩みは現実になる可能性は十分にあります。
📝高学歴ワーキングプアい陥りやすい博士の特徴
- 運が悪い
→ 所属する研究室、指導教授、時期の問題 - 神経質な性格
→ そもそも研究者に向いていないかも…
この2つの特徴について、私の経験を交えて解説します。
高学歴ワーキングプアに陥りやすい博士の特徴①
運が悪い
誤解を恐れずに言うと、研究者として研究を続けていけるか(職に就けるか)は、“運”によって決まってしまう、と言っても過言ではありません。
どんなに優秀な博士でも”運”が無ければ良い研究もできないし、学位取得後のポストを得ることもできません。
逆に「この人が!?」っていうくらいポンコツな博士でも、”運”が良ければ学振だって通るし、ポスドクのポストにも推薦してもらえます。
※自虐するつもりはないですが、私の例です。
研究者は鬱になりやすい!?
当時は”鬱”とは思わなかったし、病院に行ったわけではありませんが、今振り返れば、典型的な”鬱”状態になっていました。
また、今ほど”鬱”が世間で病気として受け入れられていなかった気もします。
なお、“運”という要素を深掘りすると、さらに3つの要素に分けられます。
📝運によって決まる3つの要素
- 研究分野
→ 研究業界的に規模が小さい
→ ポスドクの受け入れ先がない - タイミング
→ 研究費が確保されていない
→ ポスドクを雇うお金がない - 指導教官の人脈
→ 所属する研究室以外との接点が少ない
→ 機会損失が大きく、チャンスを得られない
一度、博士やポスドクを経験すれば理解できることですが、これから研究者を目指して大学院へ進学する学生には想像できないことです。
例えば、ポスドクになるためには「大学or研究機関の研究室が運営する研究プロジェクトにポスドクを採用するための予算が確保できている」ことが必要になります
つまり、予算がなければポスドクを採用することはできません。
この予算は、研究費(科研費)という形で、研究プロジェクトを運営する研究グループがプロジェクト運営のための研究費を集めている必要があります。
予算の有無は時期により大きく左右される問題で、「去年だったらポスドクを雇用できたのに…」っという状況も珍しくありません。
学振さえ取れれば自由に所属を選べる!?
学振に採用されれば、高学歴ワーキングプアに陥る心配なく、研究を続けることができます。
ただし、これにも“運”の要素が絡んでいることは確かです…。
学振に採用されるためには過去の実績が重要になります。
その実績を作れるかどうかは、大学院時代の「指導教官」と「専攻する研究分野」によって大きく左右されます。

※私は2度学振に落ちました…。
つまり、「研究者を続けていけるかどうかは、大学院へ進学した時の研究室の環境によってほぼ決まってしまう」といっても過言ではありません。
高学歴ワーキングプアに陥りやすい博士の特徴②
神経質な性格
研究者は細かいことに注視するくらい神経質な方がいいんじゃない!?っと思いますよね。
みなさんが思う研究者のイメージってどういう感じでしょうか?
研究者はKW(クウキヨメナイ)!?
実際、博士に進む学生や研究者って、いわゆる“KW”と呼ばれる人たちが多いです。
※偏見も入っていますが、これはほぼ事実だと思う…。
そうした人達が同僚にいたり、先輩や後輩にいる環境で上手く立ち回るためには、自分自身もKWにならなければ、かなり辛い状況になります。
※人間関係でめちゃめちゃ苦労します。
また、若手研究員は様々な不安を抱えています。
✓任期切れ後にポストが得られるか…
✓給料が低くて生活が安定しない…
✓論文を出さないといけないプレッシャー…
こうした状況の中で、さらに人間関係にも苦労するとなれば、普通の人なら精神的に病んでいくのは当然です…。
つまり、神経質な性格の人は研究を続けていくための精神状況を維持することができずに“鬱”状態に陥り、結果的に研究を辞めていく…ということも珍しくありません。
無神経な人は研究者に向いている!
別に、研究者を悪く言っているわけではありませんよ。(笑)
そもそも、無神経な人って将来の不安とか気にすることもないし、自分自身と周りの人との比較をすることもなく我が道を行くタイプの人なので、研究者として最強です。
研究者を目指すなら二足の草鞋を履くべき
高学歴ワーキングプアを不安視する根本的な原因は、研究者になった後の経済的な不安が払拭できないからです。
極端な話ですが、貯金1億円あれば、博士課程に進学した後に就職できるかどうかを心配することなどありませんよね。(笑)
つまり、「経済的な安定が得られないかもしれない…」という不安が、博士課程への進学、もしくは研究者を目指すことを躊躇してしまう原因になっていることは間違いありません。
1憶円あれば問題は解決しますけど、現実的な解決策ではありません。。
では、そうすべきか。
答えは簡単で、研究職に依存しない経済的に自立した収入源を確保できればOKです。
博士時代に経済的に自立しておく!



すみません。。
私自身が理系出身のため、文系の博士事情を把握していませんので、上記ページは理系学生へのアドバイスになっています…。
最後に
高学歴ワーキングプアって、結局のところ“鬱”状態とほぼ同義だと思います。
「研究職」にこだわらなければ、就職できないことはないし、仕事がないわけではありません。
しかし、ずっと研究を続けてきたために他の進路を選ぶことができず、「自らの思い込みで就職難に陥ってしまい、ふさぎ込む、そして引きこもる…」といったサイクルに陥ることは珍しくはないかも。
これが高学歴ワーキングプアの現実だと思います。
経済面の安定がなければ研究職はつらい。
結局のところ、経済的な問題がすべてなんですよね。
これから博士課程に進学する人、もしくは研究者を目指す人は、高学歴ワーキングプアに陥る前に、経済的に自立した収入源を作っておくことをおススメします。
経済的な安定なくして、精神的に安定することなどできません。
そして、精神的な安定なしに研究を続けることがほぼ不可能です。
博士に進学する人、研究者を目指す人にとって、高学歴ワーキングプアはけして他人事ではありません。
仮に博士で学位取得後にポスドクのポストに就けても、若手研究員は経済的な豊かさは期待しないほうがいいかも。



どちらにせよ、研究を続けていくのであれば、研究を通して培ったスキルを活かしてフリーランスとして活動しておくことは重要になります。
これが元ポスドクからのアドバイスです。
がんばってください。