- 博士の就職率は67.7%。就職できないはウソです。
- 研究職に就くのは難しい!運の要素が大きいかも。
- 博士はフリーランスとして独立・起業することも可能。
もし「博士卒でも就職できないかもしれない」という理由で博士課程に進学するかどうかを悩んでいるなら、それは余計な心配かも。
本記事では、元ポスドクの私が博士の就職事情について、実体験を元に解説します。
結論からいうと、博士の就職率は67.7%です。
※文部科学省の「学校基本調査」より。
就職できるかどうかを理由に、博士課程進学を悩む必要はまったくありませんので、ご安心ください。
【就職率67.7%】博士は就職できないはウソ!?
「大学院の博士課程にまで進んでしまうと就職できないから修士課程で卒業した方がいい」という話は今も昔もよく聞く話です。
しかし、それって本当でしょうか。。
文部科学省による「学校基本調査」の調査結果報告書には学部卒・修士卒・博士卒のそれぞれの進路調査が報告されています。
その資料によると、平成30年度の博士卒業者の就職率は67.7%と報告されています。
実際の報告書にある学部卒・修士卒・博士卒の就職率比較してみると以下の通りです。
平成30年度 調査結果 | 就職率 | 就職(進学) していない率 |
大学(学部) 卒業者 | 77.1% | 8.6% |
修士課程 修了者 | 78.5% | 10.8% |
博士課程 修了者 | 67.7% | 24.4% |
博士卒の就職率は学部・修士卒よりも“少しだけ低い”ことは確かですが、“就職率67.7%”を見て“博士は就職できない”と結論付けるのはちょっと無理があるのではないでしょうか。
「普通に就職できてるじゃん」って思います。。
📝博士課程進学のリアル@H30
- 博士卒の就職率:67.7%
- 就職できていない(or していない)割合:23.3%
67.7%の数字だけでも就職率は悲観するほど低くないと思われます。
さらに付け加えると、残りの32.3%が“就職できなかったわけではない”という現実があります。
博士課程へ進学した学生の中には、就職することを嫌い、仕事することも避け、学生気分が抜けきれずにダラダラと博士まで進学してきた…という人もいます。
つまり、「就職できなかったのではなく就職しようとしなかった」という博士がいるのも事実です。
就職できるかできないかはあなた次第ではありますが、就職する意思があって”就職できない”と言うことは”ほぼない”と思って大丈夫です。
ただし、研究者としてポスドクのようなポストに就職できるかどうかは別の問題です。
【注記】博士卒でも研究職に就けるとは限らない
「もし、あと1年学位取得の年が早ければ… or 遅ければ…」という時期的な問題で、研究職につけるかどうかに影響することだってありますので。
研究者ポストを得られるかは運の要素が強い!
ぶっちゃけ、教授や共同研究者などの人脈、つまり“コネクション”次第かも。
誤解を恐れずにいうと、“運”の要素はかなり大きい。。
研究職に就くためには研究室・教授選びも重要
大学院進学時、もしくは博士進学時の研究室選びが重要になります。
というか、それがすべてかも。
研究室には当たり外れがある…
学位を取得して研究者になるためには、博士学生自身の努力が必要です。
しかし、それと同等レベルで、指導教員となる教授の力も必要です。
✓投稿論文を書く。
✓学会・研究会に参加する。
✓学振に申請する。
大学院で研究者としてのキャリアを積むためには、指導教員との2人3脚、さらには先輩たちの協力は必要不可欠です。
これらの実績がなければ、研究職のポストを獲得することができませんので。
※強力なコネクションがなければ..
とはいえ、研究職がすべてではありません。
大学院5年間で培った経験・スキルは、あなたが想像している以上に社会で即戦力となって役に立ちます。
「研究職以外の分野へ就職する」という選択肢もちょっとだけ考えておいて損はありません。
むしろ、選択肢が複数あった方が心は安定しますから。
博士課程に進学する不安は就職だけ?他にもある…
本当は「博士卒で就職できるか」とは別の悩み・不安もあるのでは?
✓博士に進学すると最低27歳までは学生…
✓同級生は結婚して家庭を持ち始めているのに…
✓両親もそんなに若くないし働いて親孝行もしたい…
こういう不安を抱えているはずです。
つまり、結局のところ“経済的な不安”ですよね。
奨学金を借りて進学するため、卒業後は返済の負担もあります。
さらに言うと、博士卒だからと言って給料がいいわけではありません。。
博士卒の年収は300~400万円が相場です
経済的な余裕がなければ、冷静な思考を保てなくなります。
つまり、研究に集中できなくなる時がきます。
これは、私自身が博士課程を経験したことがあるからこそ言えることですが、博士課程に限らず、大学院生は研究活動とは別にフリーランスとしての活動基盤を作っていくべきだと思います。
経済的な不安を解消する方法
博士在学中にフリーランスとして独立・起業する
もしろん、研究と両立すると大変になりますが、やる価値は十分にあるし、フリーランスとしての活動基盤ができれば、経済的な不安からも解消されます。
ちょっと具体例を提示しておきます。
研究を通して身に付くスキルは、即戦力として仕事に転換できるケースがたくさんあることに気付いていますか?
例えば、「Webライティング」や「プログラミング」など。
クラウドソーシングで仕事は受注可能!
有名なクラウドソーシングサイトはランサーズとクラウドワークスですので、具体的にどのようなお仕事があるのかチェックしてみるとイメージがつきやすいかも。
まずは自分の腕試しにトライするものありだし、フリーランスとして働くとはどういうことなのかをイメージするためにも、クラウドソーシングにチャレンジしてみてください。

※いろんなことに挑戦できるのも大学院のメリットです。
まとめ:博士は就職できないはウソ。ただし研究職に就けるかはあなた次第。
あなたの抱えていた不安は、研究職を志すほとんどの大学院生が抱えている不安です。
しかし、もしあなたが「博士卒でも就職できないかもしれない…」という理由で博士課程に進学するかどうかを悩んでいるなら、それは余計な心配かも。
博士が就職できないのは、根拠のないデタラメだし、フリーランスとして活動&独立する選択肢だって持つことができるようになります。
📝博士は就職&起業できる!
- 博士修了者の就職率:67.7%
→ 就職できないはまったくの嘘。 - 博士は多くのスキルを持っている
→ フリーランスとしての活動基盤を作りましょう。
とはいえ、就職の可能性は常に意識してアンテナを張っておいてください。
選択肢が複数あった方が、研究にも専念できますから。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございます。
大学院生のみなさん、がんばりましょう!