- 大学院進学か就職かで迷う大学生に知って欲しい『不都合な真実』
- 大学院進学の本当のリスク。
- 研究者を目指すなら迷わず大学院に進んでほしい!
まず、先に伝えておきたいことは“中途半端が一番ダメ”ってこと。
『大学院に進学したいけど院試に合格できるかわからないから就職活動もしておこう』という気持ちはわからなくもないですが、進路は一本に絞ったほうが成功率が高くなることは間違いないです。
とはいっても、人生って単純じゃないし、そんな簡単には進みません。
しかし、全力で挑んだ結果であれば、自分自身が一番納得できるし、結果がどうなろうとも一生懸命になれたことが、今後の人生の中で自分の背中を押してくれます。
大切なことなので何度も言いますが、中途半端が一番ダメ。
中途半端な生き方は、その後の人生において“厄介な癖”になってしまい、『ここぞ!』っという時に全力を出し切れなくなってしまいます。
本記事では、大学院に進学しようか、就職しようか悩んでいる人に向けて、元ポスドクからアドバイスさせていただこうと思います。
結論からいうと、研究者を目指すなら、大学院進学だけを考えて院試対策に励んでください。
大学院は博士号を取得し研究者になるために進学する場所です。
研究者になるつもりがないなら、大学院へ進学する意味はありません。就職するか起業しましょう。
大学院進学か就職かで迷う大学生に知って欲しい『大学運営の不都合な真実』
大学院は研究者のエキスパートを育てる場所です。つまり、研究機関。
それなのに「就職で内定もらえるかわからないから、大学院進学も考えておこう」と思っているのであれば、それはちょっとおかしいと思います。
大学院は学位取得のための研究機関!
大学院を学部の延長線上のものと思っている学生が多いっぽいのですが、それが間違いなんです。
一番の違いは「大学院は”教育機関”ではなく“研究機関”である」というポイント。
本来なら、明確に線引きされるはずのポイントなんですが、それが“あやふや”にされているからこそ、大学院は学部の延長線上のものであり、就活の滑り止めのように利用する学生が多くいるのだと思います。
院試って難しいですよね。
センター試験のように出題範囲が決まっているわけでもないので、勉強する幅も広く、試験問題を作る教授の裁量次第で難易度はいくらでも高くできるので。
とはいっても、ぶっちゃけ受かっちゃうんですよね。3月の後期試験で。
でも、今まで院試対策していなかった学生が、『就活無理だから院に行こう!』っていう感覚で大学院に進学できてしまう理由については、ちゃんと考えた方がいいです。
📝勉強しなくても大学院へ進学できる理由
大学側は大学院への入学者数を増やしたい。
なぜ??
- 入学者数が増えれば、学費による収益が増える
- 入学者数が多ければ文部科学省からの評価があがり、補助金が出やすくなる。
➪院試の結果に関係なく合格者を出す。
学生の多くは学費を徴収されているだけ!?
国立大学なら年間60万円くらい、私立大学なら年間100万円くらいの学費を払っています。
「学費に似合った対価」を受取ることができているか、ちゃんと考えても損はありません。
※むしろ考えなければ損するだけかも。
とはいえ、大学院に進学すると“専門知識が身に付く”とか“就職の幅が広がる”などのメリットを聞いたことがあるかもしれません。
しかし、大学院に進学しただけでこれらのメリットが得られるわけではありません。
就職活動で上手くいかず、大学院へ進学。
でも、大学院卒だと専門知識が身に付き、就職にも有利だから結果オーライ♪
まじで、こんなことあり得ませんから。。(笑)
繰り返しになりますが、大学院は学院取得のための研究機関です。
しかし、ほとんどの学生が修士で卒業していきます。
大学院修士卒にメリットはない!?
そもそも「修士課程」という中途半端な設定(課程)があることに違和感を感じます。
ちょっと考えてみてください。。
大学院へ進学しても修士卒で就職する場合、実際に研究に費やせる時間は就職活動を考慮すると1年程度しかありません。
今まで4年間もあった学部生の間に身に着けられなかった“専門性”をたって1年で身に着けられるって、ちょっと無理があります。。
研究者を目指すなら迷う必要なし!
中途半端な考えで大学院を進学すると、間違いなく損をします。
ただし、研究者を目指すなら大学院進学のみを考えて院試の勉強に励んでください。
とはいえ、結局のとこと、大学院進学が本人にとって良い選択だったかどうかは、本人にしかわからないことです。
数百万円の学費を払って“2年間のモラトリアム期間を買う”っということにメリットを感じるのであれば、そういう考えもあるのかもしれません。
大学院進学か就職で迷う人に知って欲しい『大学院進学を後悔する学生の特徴』
「大学院は学部の延長線上のよう場所」と考えているなら、それは大学院と言う場所をかなり誤解しています。
このままだと、大学院へ進学したことを後悔してしまう可能性があります。
📝大学院進学を後悔する学生の特徴
- 大学院という場所を誤解している。
- 就職に有利と言う言葉を信じている。
- 大学院では専門性が身に付くと誤解している。
上記3つを見て「自分のことではない」と思ったあなたは、迷わず大学院へ進学しても大丈夫です。このページを閉じて院試の勉強をしてください。
しかし、少しでも引っかかったあなたは、ちょっとだけ続きを読み進めてください。
なお、以下は“修士課程で卒業する大学院生”を想定してお話をしています。
特徴①:大学院という場所を誤解している
✓大学院は『勉強』するところではく『研究』する場所。
✓大学院は研究者を目指すための研究機関。
つまり、大学院は学部の延長線上のような場所ではありません。
大学院は教育機関ではなく研究機関!
研究者を目指さなければ、大学院へ進学する価値って本当にないと思います。
それが学部4年生の時に就活で内定が決まらなかったから、新卒という形で再び就活するために大学院へ進学するという理由であっても。
ただし、学費無料で大学院生2年間を送れる!というなら話は別。
要するに、支払う学費に対して得られる対価を天秤にかけたうえで、大学院進学の価値を計ってみて欲しいということ。
例えば、“博士号”を取得するためにには大学院博士課程に進むことが必須であり、研究者になるためには“博士号”という資格を持っていなければいけません。
つまり、”博士号”には、それがなくてはいけない“価値”があります。
しかし、”修士卒”には博士号の様な具体的な価値がありません。
特徴②:「就職に有利」という言葉を信じている。
残念ながら「院卒だから就職に有利になった」という具体例を聞いたことがありません。
例えば、大学4年生のころに就活して内定を取れなかった企業に、その後大学院へ進学して再チャレンジしたら就職できた!とか。。
※ゼロではないにしてもかなりレアケースでしょうね。
そうした前例がないにもかかわらず、“大学院へ進学したら就職に有利“という思い込みをするのは危険です。
修士卒の社会的価値ってなに?
というか、ほとんどないのでは?
学士でもなく博士でもなく、わざわざ修士を採用する理由。。
博士出身者は、少なくても5年以上の研究実績があるため、企業側と博士の専門性がマッチすれば、積極的に採用したいシチュエーションはあると思います。
つまり「博士の社会的価値は十分にある!」と。むしろ、個人的には高いと思います。
※世の中がそれに気づいていない?
📝修士卒の現実は厳しい…
- 優秀な学士(学部卒)はすぐに就職が決まるでしょう。
- 優秀な修士もすぐに就職が決まるか博士に進学するでしょう。
- 残った修士は…?
残念ながら、現実は厳しいかもしれません。
特徴③:「専門性が身に付く」と誤解している
大学院進学のメリットとして“専門性が身に付く”とよく言われていますが、実際のところは難しいと言わざるを得ません。
もし、「大学院で専門性が身に付きました」なんて言っている大学院生がいれば、その人は“研究というものが何なのかを理解していない”に等しい。。
ぶっちゃけ“薄っぺらい大学院生”と思われてしまうかも。
専門性は経験と実績に比例する!
研究って過去からの積み上げです。
厳しいことを言うと、修士課程の2年間(就活を考慮すれば実質1年くらい)で身に付く専門性など、数日インターネットで情報収集すれば得られる知識程度のものかもしれません。
何度も言いますが、大学院は勉強するところではなく、研究する場所です。
研究とは人類が解決していない未知の減少を解き明かそうとする試み、もしくは、仮説はあるけど事実検証がされていない or 検証不十分の問題に取り組む試みです。
それなのに、修士2年間(就活を考慮すれば実質1年くらい)研究室に所属していただけで専門性が身に付くなんて、現実的に難しいのではないでしょうか。
以上。
ここまでは大学院を滑り止めの様な感じで考えていた無能大学生について、大学院の不都合な真実をお話していきました。
ここからは、“積極的な理由で大学院進学を考えている人向け”のお話です。
つまり、研究者を目指す人に向けたアドバイスです。
研究者を目指すなら迷わず大学院へ進学してほしい!
✓研究者になりたい。
✓研究職に就きたい。
学位取得を目指す気持ちがあるなら、就職活動のことなど考えずに、迷わず大学院に進学してください。
「もし院試に落ちたら…」なんて考える暇があれば勉強しましょう。
とはいえ、大学院へ進学しても博士課程に進むかどうかはまだ迷いがあるって人もいるかもしれませんね。この気持ちはすごくわかります。
はっきり言って、大学院修士~博士課程の5年間は長いです。
しかも、いろんな意味で苦しい…。
中途半端な気持ちでは研究者になれない!
とはいえ、悩んだところで研究者になりたいという気持ちがなくなるわけではなく、結局は博士に進学するという選択肢しかないことに気付きました。
「博士課程へ進学するかどうかはまだ先のこと。」
「今は院試に合格できるかどうかが重要。」
このように考えている学生もいますし、気持ちは理解できます。
でも、研究者になりたいという気持ちがあれば、院試なんて問題になりません。
院試の採点は教授たちの裁量で決まる!
媚を売れと言うわけではありませんが、これは事実です。
※ただし、嫌われていなければ…の話です。
とはいえ、不安は解消できないと思います。
でも、想像できないリスクよりも、想像できる可能性について考えてみましょう。
大学院へ進学するメリットを考えれば、院試の勉強もはかどるはず。
📝大学院進学のメリット
- 世界最先端の現場を体験できる。
- 視野・世界観が広がる。
- 世界を飛び回れる。
※「世界」というキーワードがポイントです。
これらは元ポスドクの私自身の実体験に基づく意見なので、リクルートなどの大手サイトでは書くことができないリアルな内容です。
大学院進学のメリットとデメリットを以下の記事にまとめておりますので、参考にしてみてください。

※大学院進学希望者は要チェック!
最後に:元ポスドクから大学院進学者へのアドバイス
繰り返しになりますが、中途半端な選択が一番ダメ。
全力で挑んだ結果であれば、自分自身が一番納得できるし、結果がどうなろうとも一生懸命になれたことが、今後の人生の中で自分の背中を押してくれます。
研究者を目指すなら、大学院進学だけを考えて院試勉強をがんばってください。
📝大学院に進学前に知っておくべきこと
- 修士卒前提の大学院進学に意味はない。
- 大学院は研究者を目指すために進学する場所。
→ 博士課程へ進学しないと意味がない。
究者を目指さない大学院進学に意味はないと思っています。
「就職できなければ大学院に進学しようかな…」と考えているなら、もう一度、大学院という場所がどういうところかを考え欲しい。
大学院は研究者になるための場所!
むしろ、研究者を目指しているなら、大学院への進学に躊躇する理由はありませんよ。
【補足】元ポスドクの愚痴
経済的な視点からいうと、研究者ほど割に合わない職種はありません。
研究者になるまでに、大学➪修士➪博士と進学を繰り返す必要があり、学位を取得するまでに最短で9年、学費だけでも1,000万円以上は必要になるかもしれません。
それなのに、学位取得後、29歳で研究職のポストに就けたとしても、初任給は300万円~400万円が相場です。
しかも多くのポストが2年間のみの任期付き。
長い学生期間中も経済的に苦しい状態が続くと思いますが、研究者になったあとも経済的に苦しい状況が続きます。。
そうした状況を回避するために、大学院在学中に“フリーランス”として独立しておくことを強くおすすめします。



※Webエンジニアとして副収入を得ることは可能です。
研究職からの収入以外に収入源を確保しておくことで、精神的にも安定した状態で研究を続けることができます。
経済的な余裕がなければ、安定した精神状況を保つことは難しいですので…。