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大学院進学を後悔しないために今日から準備すべきこと5つを元ポスドクが解説

大学院進学を後悔しないために今日から準備すべきこと5つを元ポスドクが解説
  1. 大学院進学前に準備と心構えしておくべき5つを解説。
  2. 大学院は教育機関ではなく研究機関。
  3. 大学院では「自ら考え、行動する」ことが大切。
大学院進学前に準備しておくべきことってあるのかな?研究室が変わるわけじゃないし、別に学部の頃と変わらないと思っていいのかな。

大学院は教育機関ではなく研究機関です。

そのことに気付かずにいると「大学院に進学したけど想像していた感じと全然違う…」と思うかもしれません。

大学院では「自ら考え、行動する」姿勢が非常に大切です。

私は大学院に進学した後になって「事前に知っておきたかった!」ということが山ほどありました。(笑)

本記事では、大学院で後悔しないために進学前に準備しておくべきことを5つアドバイスしたいと思います。

大学院進学を後悔しないための準備と心構え

大学院生活があなたにとって価値あるものになるか否かは“進学前の大学4年生の時期に決まってしまう”と言っても過言ではありません。

大学院で何をする?
大学院での目標は?
大学院を通してどうなりたい

これらを自問自答してみてください。すぐに答えがでてくるなら大丈夫!でも、もう少し具体的に綿密な計画を立ててもいいかもしれません。

例えば、以下5つを参考にしてみてください。

📝大学院進学の準備と心構え!

  1. 大学院は博士課程まで進学し学位取得を目指す!
    → 研究者を目指さなければ進学する価値はありません。
  2. 大学院生活が始まる前に学会・研究会への参加意思を指導教員に伝える!
    → 学会への参加準備には最低でも半年~1年は必要。
  3. 大学院生活が始まる前に学振への申請を希望する事を指導教員に伝える!
    → 学振に採用されることが研究者としての第一歩。
  4. 日本学生支援機構の第一種奨学金を借入する!
    → 第一種奨学金は高確率で返還免除になる。
  5. 研究活動の傍ら収益性の期待できるスキルを身に着け、実行する!
    → フリーランスとして起業を目指す。

上記の準備と心構えができているなら完璧です。もし、「大学院へ進学した後のことなんて考えていなかったよ」っていう人は、上の5つについて考えおくことをおすすめします。

大学院は教育機関ではなく研究機関!

大学院は学部の延長線上ではありません。大学院に支払い学費、大学院生活の貴重な時間を無駄にしないでくださいね。

とはいえ、大学院という環境を上手く利用することで、あなた自身は飛躍的に成長することができますし、充実した大学院生活を送れるはずです。

さて、ここからは上記5つの準備&心構えについて解説します。

①博士課程まで進学して学位取得を目指す!

博士課程での学位取得は、大学院進学の大前提です。

つまり、学位取得を目指さなければ大学院へ進学する意味はありません。

でも「専門性を身に着けたい」と思って修士課程のみの進学を希望する人もいるんじゃない?
「専門性を身に着けたい」という言う理由で大学院へ進学する人の本音は「就職したくない、まだモラトリアムに浸っていたい」という”甘え”があるんじゃないかな、。

修士課程で卒業するなら大学院生期間は2年間しかありません。さらに就職活動を考慮すれば、実質的に研究に使える時間は1年のみ。

1年で専門家になれるなら苦労はないですよね…。

もしあなたが修士課程で卒業&就職を考えているのであれば、なんのために大学院へ進学するのかを考え直してみてください。

とはいえ、博士課程への進学を悩む気持ちも理解できます。

しかし、振り返ってみれば博士課程進学のデメリットなんてほとんどありませんよ。むしろメリットが大きすぎます。

②学会・研究会への参加意思を指導教員に伝える!

大学院生は学会・研究会へ積極的に参加することで、確実にキャリアアップします。

ぶっちゃけ、修士課程の大学院生が学会・研究会に参加するのはややハードル高めですが、少し無理してでもそのハードルを越えていくだけの価値は十分にあります。

📝学会・研究会へ参加する意義

  1. 研究実績になる。
  2. 研究に対するモチベーションアップになる。
  3. 他大学の研究者との人脈を作れる。

とはいえ、学会・研究会に参加するためには、ある一定上のレベルの研究成果を出す必要があります。
※卒業研究発表会レベルではまったくダメです。

学会参加は教授や先輩の協力が必要!

学会に参加するための手続き、アブストラクトの書き方などのテクニカルな部分は教授や先輩に教えてもらいましょう。また、どれくらいの研究成果があれば発表できるレベルなのかも相談しましょう。

学会での発表を修士課程の1つの目標と考えて、大学院進学前から指導教官に相談しておいてください。

ちなみに、学会・研究会へ参加するためには数か月くらいの準備期間が必要になるため、急に相談しても指導教官に対応してもらえないケースがあります。

できるだけ早めに相談してくのが良いです。

③学振申請を希望することを指導教員に伝える!

学振とは日本学術振興会特別研究員と呼ばれる研究費補助の制度です。

知らない人は以下の募集要項をチェックしてみてください。

≫ 令和2年(2020年)の採用募集要項

博士課程の大学院生は、日本学術振興会特別研究員に採用されることを目指します。
※学振申請はノルマだと思っていいかも。

📝特別研究員に採用されるメリット

  1. 月額20万円+年間150万円の研究費がもらえる。
  2. 研究実績になる。
  3. 研究活動に集中できる。

ただし、誰でも簡単に特別研究員になれるわけではなく、修士課程のうちに少なくても査読付き論文を1本でしていることが条件になると思ってください。

これはかなりハードルが高いです。。

そのため、大学院進学前(学部4年生)から準備しておかんければ間に合わないため、できるだけ早い段階で指導教官に相談しておく必要があります。

なお、特別研究員になれば経済的な不安を抱えずに研究活動が行えるなかりか、研究キャリアを築く上で極めて優位なポジションとなることは間違いありません。

④第一種奨学金を借入する!

大学院で借り入れした第一種奨学金は全額もしくは半額免除になる可能性があります(以下ページを参照ください)。

≫ 特に優れた業績による返還免除

つまり、“大学院の学費分くらいは浮く”ということですので、借りておかない理由はありません。

第一種奨学金は高確率で返還免除になる!?

ちなみに、私も大学院博士課程で借入してた第一種奨学金の半額免除を受けることができました。金額にして2,196,000円が免除!

なお、この免除制度を知らずに卒業していった後輩や、教えてもらった時にはすでに申請期間が過ぎていたという後輩もいたので、あまり知られていない制度なのかもしれません。

もし、知らなかった人はこの情報を入手できただけでもラッキーですね!

また、博士課程では「返還免除内定制度」という制度があります。詳しくは以下のページにまとめていますので、参考にしてみてください。

≫【修士必見】博士は第一種奨学金が免除される!?【知らないと損】

⑤収益性の期待できるスキルを身に着け、実行する!

これは賛否両論あるかもしれませんが、「働き方が多様化している時代の中で様々な可能性を考え、行動しておくことに損はない」という個人的な考えです。

特に理系分野の方であれば、プログラミングスキルなどを身に着けやすい環境にいると思われます。

プログラミンスキルがどのように研究以外の分野に使えるのか。
どのようにすれば大学院生でも収益化することができるのか。

こうした情報には、意識的にアンテナを張っておくことをおすすめします。

理系分野にいる方の多くは、若手研究者としての大学院生という立場でありながら、フリーランスエンジニアとし活動することも可能です。

そうした研究活動をする上で見についたスキルを収益化していく方法を早い時期から確立できれば、研究を続けやすい環境を自ら作ることができます。

📝フリーランスエンジニアが利用するサイト

フリーランスエンジニアとして、どのようなお仕事があるのかをチェックしてみると、具体的なイメージが湧きやすいと思います。
※どのような職種がどのような相場で募集されているかを知ることで、自分自身のスキルの社会的価値を把握することができます。

私は研究活動を通して知り合ったエンジニアの方から、CADを使った3D設計と図面製作のお仕事をいただいておりました。

実は、PDの方で自身の研究に取り組みながら、個人でエンジニアとして副業している人は結構います。

上記サイトのような案件を受注する人もいれば、私のように研究活動の中で知り合った方に仕事をもらうケースも少なくありません。

大学院の5年間の研究活動の傍ら、隙間時間を見つけて少しずつでも自身のスキルを収益化する手段を確立させていくことも意識してみてください。

【まとめ】大学院進学を後悔しないために今日から準備を始めよう!

📝大学院進学の準備と心構え!

  1. 大学院は博士課程まで進学し学位を取得する事を前提とせよ。
    → 研究者を目指さなければ進学する価値はありません。
  2. 大学院生活が始まる前に学会・研究会への参加意思を指導教員に伝えよ。
    → 学会への参加準備には最低でも半年~1年は必要。
  3. 大学院生活が始まる前に学振への申請を希望する事を指導教員に伝えよ。
    → 学振に採用されることが研究者としての第一歩。
  4. 日本学生支援機構の第一種奨学金を借入せよ。
    → 第一種奨学金は高確率で返還免除になる。
  5. 研究活動の傍ら収益性の期待できるスキルを身に着け、実行せよ。
    → フリーランスとして起業を目指す。

ぶっちゃけ、これだけのことを大学院進学前に意識できるかと言えば、無理です。

とはいえ、教授や先輩が手取り足取り教えてくれるかと言えば、NOでしょう。

上記の5つを知っているだけでも、これからの大学院生活をどのように過ごすかを考えるための材料になると思います。

できれば、ひとつずつ実行して欲しいです。

ぜひ、参考にしていただけると嬉しいです。